香港の企業であるCLPホールディングスの2015年の年次報告書が2016年スティービー・アジア・パシフィック賞の年次報告書&出版物カテゴリーでゴールドを受賞しました。
2017(第4回)スティービー・アジア・パシフィック賞の応募受付中です。こちらで応募要項をご覧ください(PDF)。
CLPホールディングスの常務&CFOであるGeert Peeters氏とのインタビューで、スティービー賞を受賞した2015年の年次報告書がどのように誕生したのか、そして受賞した感想を聞いてみました。
CLPホールディングスの常務(Executive Director)で最高財務責任者(CFO)であるGeert Peeters氏は、2016スティービー・アジア・パシフィック賞受賞を非常に喜んでいました。「スティービー賞を受賞し、大変光栄です。当社は革新を重要視しているだけに、より意義深いと思っています。」
国際統合報告委員会(International Integrated Reporting Council)と香港公認会計士協会の基準に基づいて作成されたCLPの2015年次報告書は、会社によって5番目の統合年次報告書です。「サービスを提供する社会への確固たるコミットメント」というCLPの理念に基づいて構成された報告書は、CLPの社会、環境、運営、財務の全体的なパフォーマンスに関する観点を統合的かつ革新的な方法で提供しています。
革新
Geert氏は「当社は常に学習し、絶え間ない発展のためにスティービー・アジア・パシフィック賞に応募しました。毎年、様々な国や部署で同僚たちが完璧な年次報告書を作成しようと努力しています。スティービー賞でそのような苦労を認めてくれたのだと思います。
当社は革新の過程で得たものがたくさんあります。革新は絶え間ないプロセスであり、今もさらに発展するために学んでいます。例えば、当社は初期に統合報告書を採択し、事業の成果を環境的、社会的な側面や政府の成果を報告しました。このようなアプローチは現在当社が何を行っていて、株主にどのような価値観を伝えているのかなど、全体的な観点から見ることができました。
スティービー賞は新しいアイデアを実行する動機を与えてくれました。リサイクルが可能な封筒を製作しようという意見が出され、選択したNGOへの寄付を増大するためにフィードバック形式を導入することにしました。このようなチャンネルによって様々なの株主との交流を発展させ、かつてはできなかった方法で価値を伝えることができます。」と話しました。
デザインと形式
「電気は現代社会において必須要素となっています。社会の安全に責任を持つ様々な機器に電源を供給して人々が便利で快適に生活し、働くことができるようにしてくれるのです。CLPと株主との緊密な関係を強調するために、今年は落ち着いた感じのデザインを追求しました。年次報告書の鮮やかでカラフルなイラスト、デザインが優れているグラフ、直観的なインフォグラフィック、適切に選択された写真にそのようなコンセプトを反映させました。業績が一目でわかるようにすべての重要な情報や数値、グラフィックを捕捉して視覚化し、報告書の最初の6ページの「2015年CLPのスナップショット」というセクションにまとめました。
アクセシビリティと相互作用
より多くの人々にCLPを知ってもらおうと、年次報告書の印刷版をオンラインマルチメディアスナップショットを持続可能性報告書とともに掲載しました。Geert氏は「スナップショットでは事業概要をビデオなどのマルチメディアを使用し、持続可能性報告書では持続可能性の原則、戦略、努力についての詳しい説明を盛り込みました。株主が当社を評価する際にウェブサイトと印刷物で得た情報をより多く活用できるようにするのが目標です。」と話しました。
慈善寄付
また、「報告書の読者に60ドル(香港ドル)の寄付をすすめるために、相互作用を強化するための革新的な方法を考案しました。その結果、年次報告書、オンラインスナップショット、持続可能性報告書の読者から合計HK$350,000の寄付金を集めることができました。
スティービー賞のような有名な組織から認められることで、仕事に対して誇りを持つことができ、最高を目指してより努力するための動議となりました。」と話しています。
環境問題
主な争点であるエネルギーと環境について、2017年度のCLPの計画を聞きました。「当社はエネルギー産業が環境に与える影響を十分に認識し、気候変化の危険性と影響を知らせなければならないという責任を10年前から感じていました。その一環として香港証券取引所のESG(Environmental, Social and Governance)報告書の案内準則を導入しました。当社は90年代に環境的、社会的業績を報告してきた数少ない会社の一つで、それが徐々に発展して現在ではオンラインで入手可能な持続可能性報告書になりました。ですから当社はESG報告書に精通しているのです。」
カーボンフットプリントの削減
CLPはカーボンフットプリント削減のために電子出版の方法に変えることを決定し、各株主にHK$60を寄付するよう勧めました。印刷物は特別に製作した封筒で発送しました。封筒は環境保護を促進し、ゴミを減らすためにエコバックとして再利用できます。
持続可能性の原則
「2015年年次報告書では『遵守または説明』の条項に基づいてESG情報を掲載しました。2017年3月に発表される2016年年次報告書では、より多くのことを計画しています。しかし、報告するためにまず活動をする必要があります。昨年、国連は17の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal, SDG)を採択しました。これは貧困、飢餓、気候変動などの地球的問題を2030年までに解決することが目標です。SDGは持続可能な発展のために必要な段階的な移行について、明確な方向性を迅速に国際社会に提示しました。また、当社独自の持続可能な原則を樹立するように鼓舞し、それに応じて長期的な事業戦略を支えることができる持続可能な最優先事項の基礎を築くことができました。このような動きは世界的にSDGを達成するために貢献しようという意志を強くし、特に気候変化や低価格の電気に集中していこうと思っています。」
未来のためのインスピレーション
Geert氏は未来を楽観的に見ています。「CLPの目標は、持続可能な方法でアジア太平洋地域のエネルギー問題に次の世代までに対応していくことです。当社は顧客が信頼できる安全な電気を供給し、環境にやさしい方法と合理的な価格で供給しようと思っています。
しかし、世界は急激に変化しています。未来に対して明確なビジョンを持って革新の力を活用してこそ変化に対応することができます。未来でも有用な会社を目指して低炭素世界で競争することができ、顧客中心のエネルギー企業として変わっていく必要があります。
それはまったく新しい可能性を開きます。再生可能エネルギーはそのうちの一つです。アジアのより多くの国が太陽光や風力などの再生可能な方法でエネルギーを発電することは非常に望ましいことです。CLPにおいて拡大しつつある中国本土とインドに該当する内容です。中国とインドは野心的にクリーンエネルギーを目標にしています。当社は長年にわたり、二つの地域で3,000メガワットの再生可能エネルギープロジェクトを開発しており、さらに多くの計画があります。
当社はそのような地域でより高いレベルで存在感を示すことを目指しています。開発途上国で個人の貯蓄が増えていくのを確認しました。そこでグリーンボンドを含む現地通貨建て債券を発行し、苦労して貯めた財産を国の発展のために大きく貢献できるインフラプロジェクトに投資できるチャンネルになりました。このような冒険に貢献でき、大変嬉しく思っています。」
Geert Peeters氏について
Geert Peeters氏は2014年4月1日からグループのディレクター(Group Director)および最高財務責任者(CFO)の任務を遂行し、会社の財務管理&報告、資金、税金、企業金融、機器管理、IRを担当していました。2016年1月1日付でCLPホールディングスの常務(Executive Director)および最高財務責任者(CFO)に任命されました。
彼は25年以上エネルギー産業に携わっています。CLPに入社する前はパリのGDF SUEZ(現 ENGIE)グループの副CFOを務め、1997年から2013年まで勤務しました。その間にヨーロッパ、ラテンアメリカ、中東、北米地域で勤務し、財務と運営の中枢的な役割を担当しました。また、2012年7月までGDF SUEZの子会社であるインターナショナルパワーで常務、CFOを歴任しました。インターナショナルパワーはロンドン証券取引所に上場され、FTSE 100指数に名を連ねている企業です。それ以前にはブリュッセル、ニューヨークのKBCバンク、ベルギーのアントワープにあるドエル原子力発電所内のトラクタベル・エネルギー・エンジニアリングに勤務しました。また、ベルギー空軍の予備役将校として服務しました。
過去3年間にインターナショナルパワー以外にもチリで上場されたE-CLとタイで上場されたグロウ・エネルギーを含む数か所の上場エネルギー企業で取締役を務めました。彼はCNBC Global CFO Councilの会員です。ベルギー国王からレオポルド勲章を授与されました。ベルギーのゲント大学で電気・機械工学の修士号を取得しており、フランス・パリのINSEADで経営ビジネストレーニングに参加しました。
CLPグループについて
CLPホールディングスはCLPグループの持株会社として香港証券取引所に上場された企業です。アジア太平洋地域で最大の投資家を持つ電力会社です。CLPパワー香港を通じて垂直統合型電力会社を運営し、香港で使用される電気の80%を供給しています。
香港だけでなく、中国本土、インド、東南アジア、台湾、オーストラリアでエネルギー分野に投資しています。CLPで保有している発電施設のポートフォリオは石炭、ガス、原子力、再生可能エネルギーなど広範囲にわたります。CLPは中国の再生可能エネルギー分野で最大の外部投資企業の一つです。インドでは最大の再生可能エネルギーの生産者であり、電気分野で最大の外国人投資企業です。オーストラリアのエナジー・オーストラリアは完全子会社として運営され、最大総合エネルギー企業の一つとしてガスや電気を260万以上の世帯、企業に供給しています。
また、世界の優良企業150社で構成される平均株価指数グローバルダウ、ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・アジア・パシフィック・インデックス(DJSI Asia Pacific)、ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・アジア・パシフィック・40インデックス(DJSI Asia Pacific 40)、ハンセン(恒生)・コーポレート・サステナビリティ・インデックス・シリーズ、MSCI グローバル・サステナビリティ・インデックスの構成銘柄に選定されました。